*

日本数学会

理事長からのご挨拶

数学の発展・普及と日本数学会

prof.funaki
撮影:河野裕昭氏

日本数学会 理事長舟木 直久

数学は長い歴史を持ち独自の問題意識で発展するとともに、諸科学を記述する基礎的な言語として用いられてきました。物理学や天文学との関係は長きにわたりますが、情報化社会といわれる今日の日常生活において、数学はあらゆる面で基盤となる重要な役割を担っています。

日本数学会は「数学の研究を盛んにし、またその普及をはかり、関係諸部面とも協力して学術文化の向上発展に寄与すること」を目的として設立された一般社団法人で、現在約5000人の会員を擁しています。この目的を達成するために日本数学会は、年会・秋季総合分科会、高木レクチャー、日本数学会季期研究所の開催、出版・顕彰事業、市民講演会や藤岡おもしろ数学教室の実施、さらに教育の改革あるいは数学研究の基盤整備などわが国の数学的な力の向上のための提言などを行っています。

数学者は、大小の違いはあれ、定理(命題)を生み出すために日々研鑽を積んでいます。数学はきわめて論理的な学問です。定理を示す過程の中で一箇所でも明確に証明できない点があれば、それは定理としては成立しません。しかし、いったん正しく示された定理はその前提となる条件が満たされる限り、様々な状況において適用することが可能になります。数学の特性はまさにこのような汎用性にあり、それが数学の有用性につながっています。数学の理論が本人の想定外のところで応用され成功した例は多数ありますが、伊藤清の確率解析はその典型例です。

日本数学会は数学の研究の発展と普及につとめ、現代社会における数学の広がりのなかで、さらなる社会への貢献を続けていこうとしております。皆さまのこれまでのご援助にあつくお礼申し上げるとともに、より一層のご支援をお願い申し上げます。

In English